小江戸川越では、風情ある蔵造りの建物だけでなく、異国情緒あふれるレトロモダンな洋風建築も見て回ることができます。「埼玉りそな銀行」や「川越キリスト協会」、「シマノコーヒー大正館」など、大正・昭和に流行した現代建築を取り入れた建造物は、一味違う川越の風景を見せてくれます。
埼玉りそな銀行 蔵の街出張所
(旧第八十五銀行本店)
大正7 年(1918)保岡勝也の設計による鉄骨鉄筋コンクリート3 階建ての建物です。外観は当時 流行のネオルネッサンス様式を取り入れ、正面隅部に塔屋を設けています。 この建物を設計した保岡勝也は、東京帝国大学で辰野金吾に師事し、卒業後、現在の三菱地所の前身である丸ノ内三菱建築所に勤め、退職後、大正2 年(1913)に事務所を設立し、 中流層の住宅作家として活躍しました。
山吉ビル
県内初のデパート建築です。イオニア式の柱やレリーフ、ステンドグラスなどの装飾も見事です。
一番街 洋風長屋
蔵造りの通りの小道にあるちょっとモダンな洋風長屋。モルタル造りの四軒長屋で、ところどころの意匠がかわいらしい建物です。昭和7 年に棟梁の斉藤玉吉によって建てられました。現在も店舗として活用されています。
旧山崎家別邸
川越の老舗菓子屋「龜屋」五代目・山崎嘉七の隠居所として建てられた建物で、和と洋両方の良さを兼ね備えた美しい建築です。主屋は2階建ての洋館と2階建ての蔵、平屋の和館で構成されていて、庭園には茶室や枯山水が配置されています。令和元年9月に国の重要文化財に指定された、建築家・保岡勝也の傑作です。
手打ちそば百丈
昭和初期に建てられたこの建物は日本の“看板建
築”の代表作の一つです。アール・デコを感じさ
せる銅板貼りの外観は、川越商人の粋を表してい
ます。川越商人の心意気が、小粋なこの建物を再
生してくれました。
丹徳庭園
明治2年(1869)に六軒町に創業した「丹徳」。初代・鈴木徳次郎が建てた「はなれ」と200坪に及ぶ枯山水庭園を一般公開しており、そのほか、抹茶体験や食事、宿泊ができます。宿泊をする際のチェックインは昭和4年(1929)に建てられた洋風の応接室にて。歴代の川越の要人たちをもてなした母屋は、昭和レトロな雰囲気を感じられます。
リストランテ ベニーノ
(旧六軒町郵便局)
昭和2年(1927)に建てられた白い外観とおしゃれな出窓が特徴的な建物で、郵便局として利用されてきました。現在、1階はイタリア料理店「リストランテ ベニーノ」として開かれており、落ち着いた雰囲気の店内ではパスタやピッツァ、コース料理などの本格的なイタリアンを、ワインと一緒に楽しむことができます。